『見る』と見えなくなって、『観る』とみえてくる。
パウロ・コエーリョ『アルケミスト』の中で。
羊飼いの主人公はお城の主人に、スプーン一杯の油を渡される。
「この油をこぼさないようにお城を一周してきなさい」
戻ってきた少年にお城の主人は言った。
「お城の壁に飾ってある私の絵画のコレクションはみたかね?」
「いえ、みる余裕がありませんでした」
美しい絨毯に油をこぼしてはいけないと、少年は必死だったのだ。
「では、もう一度お城を一周して私のコレクションをみてきなさい」
戻った少年の手を見て主人は尋ねた。
「スプーンの油はどこへいったのだ」
絵画に夢中だった少年は、スプーンの油のことをすっかり忘れていた。
すぐ近くのことに氣付く力も、広く見渡せる視野も。
「集中」の観察力と、「受け取る」観察力。
どっちもだいじ。
トモミ
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